正親町天皇がラスボスなんて面白くも何ともない
https://news.yahoo.co.jp/articles/873f800185b156b2112e3d75a4f47ddfcef80cb4
<麒麟がくる>“ラスボス感”増す正親町帝 信長に静かな怒り、意味深発言 「本能寺 朝廷黒幕説」強まった?
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」で坂東玉三郎さんが演じている正親町天皇 (C)NHK
12月27日放送の第38回「丹波攻略命令」を含めて残り7回となったNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)。同回には、「本能寺の変」で光秀と運命を共にする、斎藤利三(須賀貴匡さん)が初登場するなど、クライマックスに向けて、いよいよ目が離せなくなってきた。ここに来て“ラスボス感”を増しているのが“帝(みかど)”こと正親町天皇(坂東玉三郎さん)だ。12月20日放送の第37回「信長公と蘭奢待(らんじゃたい)」の終盤には、蘭奢待のかけらをめぐって、信長と正親町帝の“すれ違い”が描かれた。
第37回では副題の通り、朝倉・浅井を攻め滅ぼした信長が、時の権力者が切り取ってきた香木「蘭奢待」を所望し、その願いがかなう様子が描かれた。
切り取った蘭奢待の二つのかけらのうち一つを正親町帝に献上する信長。「帝もきっとお喜びじゃ」、この信長のもくろみは大きく外れることになる。一方、帝は「朕(ちん)が喜ぶと思うたのであろうか、信長は」と三条西実澄(石橋蓮司さん)に尋ねると、信長とにらみ合う毛利輝元に「贈ってやるがよい」と、その場で実澄に“横流し”を命令。信長と毛利の関係性については「それは朕の知らぬこと」と我関せずといった態度を見せると、「織田信長、よくよくの変わり者よのお~」と意味深な言葉を残した。
この帝の言動に対して、SNS上では「あー。これあかんやつ」「信長様の読みが外れた」「帝お怒り」「ノッブもノッブだがこの帝も帝だよな。怖すぎるわ」などと視聴者は反応。「壮大なマウンティング」「帝が黒幕説っぽくなってきて草」「帝の手のひらの上で踊る信長様、やっぱりラスボスは帝」「正親町天皇、乱世の貌が出てきて良き!!」といった感想も次々と上がっていた。
「麒麟がくる」は59作目の大河ドラマ。1991年放送の「太平記」などで知られる池端俊策さんのオリジナル作。ドラマでは謎めいた明智光秀の前半生にも光を当て、戦国の英傑たちの運命も描く。
まず最初に肯定的なコメントから述べますが、玉三郎氏の正親町天皇は高貴な役柄らしく気品に満ち溢れていて、そのカリスマ性は同じ池端氏脚本の「太平記」の片岡後醍醐天皇にもそうは劣らないと思います。
この麒麟がくるでは蘭奢待の横流しが原因で、織田と毛利が喧嘩する事になるばかりか本能寺も朝廷黒幕説が取られそうですが、室町幕府の最後を描きたかったのではないですか?さすがに、彼がそうした為に信長が天下統一を阻まれたなんて評価は、毛利は織田に対して劣勢で、信長の跡を継いで天下人となった秀吉だって領国を5か国にしようとしていた(結局は、徳川も北条も服属してなかったから7か国+残り2か国のそれぞれ半分領有を認めましたが)し、彼を過大評価しすぎですが、足利義昭と毛利の接触は描かれずじまい?室町幕府の最後を描きたかったのではないですか?知っているのだろうけど、義昭が征夷大将軍を辞めるのはまだまだ後の話だよ?
勿論輝元と叔父さん二人組も登場しないのだろうし、別に史実通りに描けなんて言うつもりもないですが、近年の研究では否定されつつある信長と朝廷の関係微妙説を描かれてもねえ・・・・・・・・・・・ですが、そう言えばその説を唱える面々の一人である今谷明氏の著作、「信長と天皇」も家にもあったけど、そこでは大内義弘を滅ぼした後の義満には明智光秀の様な存在などありえず、足利政権は15代続いた、織田政権は見かけほどの強さなんかなかったとか的外れな比較がされていた。
https://hajimete-sangokushi.com/2018/05/12/%E7%B9%94%E7%94%B0%E4%BF%A1%E9%95%B7%E3%82%AA%E3%83%AF%E3%82%B3%E3%83%B3/
確かにこの「はじめての三国志」というサイトでも指摘されていた通り、織田政権は内部崩壊する要素も抱えていたけど、義満だって、確かに応永の乱では義弘その人を滅ぼす事には成功したけど、その後幕府が望む後継ぎを擁立できず、盛見の継承を認めざるを得なかったばかりか、菊池氏共々幕府にあまり従順じゃなかった少弐氏も勢力を盛り返してしまって、今川了俊に代わって九州探題とした渋川氏も2代目で彼らを抑えきれなくなった。関東・東北もやはり独立志向が強かった鎌倉府に対する牽制として元々は南朝方だった伊達氏の力も借りなければいけなかったし、大内氏の他に土岐氏や山名氏とかの勢力を削減しても結局新たな強大な勢力を持つ守護大名が出てきてしまった。
彼らに多くの土地を与えたのは、時代の状況がそうさせた面もある。何も義満だけが悪いわけではないですが、結局後継ぎ争いも満足に裁定が出来ないまま応仁の乱が起きて、その後もおひざ元の山城国で一揆をおこされたり、六角氏も懲らしめきれなかった内に、義詮政権期に清氏が南朝に降って討たれた以外はそれほどの打撃が無かった細川氏にクーデターを起こされて、以後権威はそれなりに保っただけの死に体となったではないですか。(家康はこの室町幕府の失敗からも良く学んでいたのだとも改めて思います。譜代大名にあまり石高を与えなかったのは、三河武士たちは横並び意識が強かったからとか関ヶ原でも譜代はあまり活躍できなかったからだとか言ってた人もいましたが、関ヶ原で活躍しようがしまいが、井伊とか本多とか榊原とかの石高はそうは大きく変わらなかったと思います。そもそもまた、関ヶ原自体最初から大して勝負にならなかった説も出てきていますし)
過去エントリーでも指摘したけど、官位・官職だって、義満の代で摂関家に準ずるまでの家格を得た筈が、そのクーデター以降は最高でも従二位・権大納言で、義輝みたいに20年近く在位しても従三位・参議で終わった人もいて、大内義隆みたいに足利将軍よりも高位・高官の戦国大名だって出てきた有様だった。足利将軍が15代続いたのなんて、もっと空気だった春秋・戦国時代の周とかよりはマシながらもそんなどや顔で強調すべき話じゃないだろでしたね。麒麟がくるも、室町幕府の終わりを描きたいのなら、こういう足利将軍の現状ももっと詳しく描くべきだったのですが、駒とか架空人物もチョーご都合主義的な立ち回り以外にも尺配分でも失敗している。同じ信長が主人公、またはそれにかなり近いポジションの作品では緒形直人氏のキングオブジパングと比べて5話分は遅れている。
yahooテレビでは、これについては国盗り物語を意識したんじゃないのかと指摘した人もいたけど、国盗り物語と比べると7話も少ないのですが。話数が例年より少ないのも、コロナで放送が一時中断となったのもNHKやそのスタッフには責任はないですが、特に美濃編ですよ。やはり18回は多すぎた。池端氏は道三も好きな様だけど、その2/3で十分だった。キングオブジパングなんか13・14話目で桶狭間だったのだけど、意識するのならこっちの方だったのではないですか?このキングオブジパングも、トレンディドラマを意識した様な配役や、信秀や市等信長の近親者の脚色とか「?」と思った点もいくつかはあるのですが、最近の駄作大河と比べると名作に見えてしまいます。緒形氏の演技も、凡庸ではなかったですし・・・・・・・・・・・まああとは放送終了したらまた詳しく酷評させていただきますが、本能寺の解釈も本当にこうなるのだったら、まだ直虎の方が全然マシですね。直虎はまた、見ていた時は不満点もいくつもあったけど、ミスキャストは殆どいなくてそういう面では安心して見れましたものね。
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