« もし康京和または文在寅が日本に来たらどう言うべきか | トップページ | おんな城主直虎の終了から改めて見える、大河ドラマの女性を無理押しした等の駄作化と日本の政治劣化との関係性(前編) »

2017/12/19

おんな城主直虎最終回-「肉体は死しても魂は滅ばず!!受け継がれるおんな城主の生き様!!」(※12/23編集有り)

明智光秀って、出番は大して多くなくても大抵実力派のベテラン俳優が起用されるもので、この直虎では光石研氏ですが、今年は映画とドラマで16本も出演されたとか。遠藤憲一氏にも負けず劣らずな活躍ぶりでしたね。何か特段派手で華があるわけではないですが、善悪問わず様々な役をこなせる実力があり、どちらかと言えば一癖ある役の印象が強いですが、陸王とかでは良い人な役だし、名脇役として欠かせない存在であります。

設定上、本作でも光秀がやはり終盤の重要なキーパーソンとなり、本能寺の変をめぐる解釈は今までのそれこそ星の数ほどある過去の作品群とはまた一つ違った切り口で攻めていました。伊賀越えは思ったよりもあっさり終わって、あのいかにもわざとらしい芝居もゲラゲラ笑えたわけではなかったですが、家康チームが早速信長の弔い合戦しに出陣って、全く大した役者どもでしたな。(苦笑)

しかし、やはり今回は登場しなかったけど、秀吉が既に光秀を打ち破って、前作「真田丸」の三谷幸喜氏も清須会議も題材にしたけど、信長亡き後の織田家の主導権は彼が握る事になり、柴田勝家や丹羽長秀等共々出遅れた家康は自前の領土における引き締めと信長の死により空白地帯となった近隣地域の切り取りに専念する事になります。

前者は、出会いのきっかけはいかにも直虎らしいと言えたのですが、実在自体ハッキリしない光秀の子、自然(光秀も生年数説あるし、信長に仕える様になるまで何をしていたかハッキリしないのだけど)、信長の子と偽って於大の方直々の要求にも屈しなかった直虎でしたが、最後の意地を見せたと言えます。南渓から悦シュウ(変換できなかったけど、シュウは山と由)の名をもらった彼ですが、実際信長にはそういう名前の子もいて、徳川幕府2代将軍秀忠の世まで生きていたらしく父から与えられた天目茶碗も実際指定文化財になっているらしい。最初見た時はやや強引に感じたけど、またまた意表を突いた脚色がされていました。このくだりの悪くは無かった・・・・・・・と言うか、寧ろこの最終回の話は前半は良かったです。

しかし、一方で結果的に本能寺から3か月後に死んだからしょうがない面もあったけど、久々に再会したと思ったら、龍雲丸と別れたのも何だか思ったよりあっさりしていた感じがしたし、それだけならまだしも、直虎がついに死ぬ間際、幼少期の直親と政次が登場して、直虎も同じく幼少期の姿になったのはともかく、何でその後同じく幼少期の龍雲丸まで?という事はもしかして・・・・・・・だったのか?でも、こいつとはそこまで長い付き合いじゃないだろと言うか、強引でしたね。

と言うかまた、そもそもこの直虎の死のくだりは「さあ、泣いてください!!」な感動の押し付けがましくて、最大にして最後の大舞台だったのに却って白けた気分にさせられました。私はハッキリ言ってそういうお涙頂戴とかも大嫌いな人間なんで猶更でしたが、直政が養母の死に直面して半ば茫然自失となっていて、康政に叱責されたのも不自然な態度に見えました。まあ、妹と友人を失ったポルナレフみたいに「いなくなって初めてその存在の重さが分かった」のかもしれないけど、直虎との関係変化とか肝心の部分が掘り下げ不足だったから素直にそういう態度とか残念ながら共感とかは出来なかったですね。

そうした死にも直面しながらも甲斐と北辺を除く信濃を徳川領に組み入れた天正壬午の乱でも直政や直之ら家臣達は国衆らと交渉した等尽力して、一見直政のイメージじゃないながらもそれも史実だったらしいですが、最後の最後で小笠原康広が登場したのも、北条氏と縁戚関係にあり、氏康から名前も一字貰ったからなのでしょうね。ここで真田昌幸とかも登場していればなお面白かったのですが。真田丸にも繋げられるし。

この交渉が、直政が実績を残した確かな証拠がある初めての仕事だったらしいですが、この直後漸く元服する事になります。既にこの時点で21歳だったからかなり遅く、折烏帽子を被っていて、月代剃ったかどうかはこの時点では確認できませんでしたが、赤備えと直々に仕える家臣達を家康から与えられました。しかし、その家臣達の中に直虎との確執ももはや過去の事、丸くなった康用もいたけど、彼この時点でもう70超えた老人だぜ?光秀が総白髪で康用が初登場時と殆ど容姿変わってないのも細かいながらも違和感あったけど、彼の息子は実際後に直政と仲悪くなって袂を分かったらしいから、これから徳川の天下取りを支える為に働きまくる活躍に水差さない為に康用に代わりに出てもらったのでしょうね。大変だね~なかなか引退できなくて。

やっぱ元服時に直政は月代剃っていた様だけど、菅田氏は人気イケメン俳優の一人だし、月代剃らない方がカッコいいから(高橋一生氏の方も剃っていたけど、あの長興寺の肖像画も有名な信長だって剃ってない作品の方が多いもんね)小牧・長久手の合戦で活躍した姿が描かれた所で終わりにしたのか?そうも勘繰りたくなったけど、最後はそんな直政の徳川四天王の一角とか動のイメージとは正反対だったと言うか、静かな幕切れでしたね。「えっ?これで終わり?」と言うか。


1年間(正確には11か月間か)見続けたおんな城主直虎も今回でとうとう終わりとなったけど、なるべく簡潔に本作についてもう一度ざっとですが、振り返ります。

まず物語の始まりを1544年にした時点で少々無理がありました。直虎の父、直盛の生年は1506年説と1526年説がありますが、前者だと曽祖父(直盛にとっては祖父)の直平が17歳または27歳の時に生まれた事になってしまうし、後者だと、今度は直虎1536年生年説に矛盾をきたしてしまいます。まあ直虎の1536年生年説も、直親が実際1536年だから、それ前後だろうな恣意的な推測に思われますが、後述の話は無視する事とすれば、直虎の生年は1540~45年頃で直親が信濃に逃げた時は下手すれば生まれていなかったでしょう。

もうこの時点で何だか躓いてしまった様に見えて、女性主人公の大河の欠点として尺配分の拙劣さが指摘されていましたが、本作も残念ながら例外ではありませんでした。本能寺の変をめぐる解釈だけではなく、今川義元に必要以上に喋らせないで、桶狭間での戦死もナレーションでの言及にとどめたのは信長や家康をも凌駕する大物ぶりが感じられて良かったし、父の氏親が死の直前に制定して彼が完成させた今川仮名目録も絡めた寿桂尼と直虎のやり取りも面白かった。大河ドラマって、国盗り物語での道三と信長、毛利元就での経久と元就、義経での清盛と義経の様な、「前者はラスボスではないが、後者に大きな影響を及ぼし、後者にとって超えなければいけない大きな壁」図式をしばしば好んで描く様ですが、直虎もそんな大河ドラマのお約束に沿った一面もありました。またまた今川氏だけど、弱い者いじめしていて、領国を保てなかった無能大名な印象が強かった氏真も群雄割拠レースからの脱落後は背伸びしない、ありのままの自分を受け入れて、敗者なりの意地を見せ、ピンポイントで家康や直虎も助けた等最後までそれなりに活躍しました、と言うかある意味直虎より主人公らしかったとも言えたかもしれません。

しかし、その一方で凡庸な描写も目立ちました。尺配分の拙劣さって何だよと突っ込まれそうだからいい加減応えますが、幼少期の直虎はステレオタイプな元気な女の子に過ぎず、見ていて面白くも何ともなかったのにその描写に固執してしまったのが第二の失敗点だったと思います。直虎の許嫁だった、父の従兄弟でもあった直親と同時期に曽祖父の直平ら一門の長老達も世を去りましたが、直平の死とそれに絡んでいた可能性がある飯尾連龍の粛清劇も本能寺の変とかみたいに解釈次第で面白く描けた筈なのに扱いきれないと見たのか、結局さらりとしかまたは全く触れられなかったのも個人的には大きな不満点でした。折角歴史考証に、特に徳川氏・今川氏関連に詳しい小和田哲男氏を起用したのに、小和田氏の学識を活かし切れたとは言えませんでした。

直親という大きな欠片を埋め合わせるために登場した様な龍雲丸との恋愛描写もベタなメロドラマを見させられた様な気分で、正直脚本担当の森下佳子氏には直虎に自身の願望を独り善がりに投影するのはやめてくれ、そういうのはご自分の脳内にだけとどめてくれだったけど、過去の脚本担当作品(包帯クラブ等)にも出演された柳楽優弥氏を起用した割にはそのバックホーンも他の作品でも何度も聞いた様な設定で平板でした。

それでも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イケメン・美女から個性派まで色んなタイプを揃えた役者陣の演技の良好さが大きな救いとなっていて、それ故にも後述する様に実際の出来以上に評価されているのだろうけど、その意味では安心して見れました。その面々の中でも、最優秀助演男優賞はやはり高橋一生氏にこそ与えられるべきでしょう。耳をすませばの頃から知っていて、それ以前にも色々な作品に出演されていて、まあ「佞臣に見えて実は井伊家の将来の事を誰よりも考えていて、直虎の事も私情を排してやりあった事もあったけど、直親にまけないぐらい愛してもいた良い人」もややベタではありましたが、あの壮絶な処刑シーンが結果的に本作最大のハイライトであり、どんな嫌な役でも一つ一つ確かにこなされた末に掴まれた栄光という大輪の花をまた咲かせた瞬間でした。残念ながら民衆の敵は低視聴率だし、シンゴジラも私的には普通にゴジラシリーズの中では底辺クラス(庵野秀明氏への個人的な好悪を全く抜きにしても。庵野氏もエヴァは決して嫌いではないですけどね)の出来でしたが・・・・・・・・・・・・

高橋氏がいなくなって、直虎どうなるんだ?な不満を抱いたのは私だけではあるまいでしたが、残念ながらその不安は杞憂ではありませんでした。井伊家の敵対武将達も、折角若い頃から度々大河にも出演されていて、決して暴れん坊将軍だけじゃない松平健氏が配役だったのに家康が約束を反故にしたのに怒りをあらわにして、ライバルの北条氏康が死んだ事も喜んで、挙句の果てに寿桂尼の亡霊にノックアウトされた武田晴信(信玄)はやや小物臭かったし、氏康は氏康で村上弘明氏は過去に信長を演じられた事もあったのに登場してすぐ死亡って、態々出演させた意味あったのか?やや細かいけど、嫡男で形式的には既に家督を譲られていた氏政の方を登場させて、氏康は死亡した事について説明するにとどめた方が良かったのでは?でしたが、最後の大きな失敗点は何と言っても実質的に中途半端に直政に主人公交代させた事です。

ホリプロが必死こいてゴリ押し(陸王での演技も悪くはないけど、同じイケメン枠では山崎賢人氏の方が頑張られていると思う)している竹内涼真氏に最近やや押され気味な気もしないでもないけど、菅田将暉氏の人気に今度は縋ろうとしたのでしょう。ケツ丸見えの褌姿も見せた等のBLシーンも悪い意味で分かりやすかったわ(苦笑)で、本多忠勝役の高嶋兄までも上半身裸姿を見せてもいましたが・・・・・・・・・・熱血漢とか言えば聞こえは良かったのでしょうが、周りや後先の事とかあまり考えないで突っ走りすぎなきらいがあって、あの草履をフリスビーみたいに飛ばしたシーンも出世しようと一生懸命だったのは分かるながらも伊賀越えのわざとらしい芝居等共々笑えたりはしませんでしたが、普通に感情移入できないタイプでした。それでも、正室と嫡男を一気に失った家康を励まそうとして却って自暴自棄になっていた彼の怒りを買った時点でベタでも自分の無力さを痛感して、直虎や家臣達もいたからこそここまでやってこれた事を良く認識して、バランス感覚も覚えて人間的に一回り大きくなった姿とか描かれていたらまた彼に対する印象は変わっていたし、直虎死後のあの態度にも違和感とかは感じませんでしたが・・・・・・・・菅田氏が悪いのではなく、その様にクオリティのバラつきがあった脚本が悪かったけど、正直今まで見た役柄の中で最も印象が悪いです。今回の直政は。

高橋氏退場、主人公交代後も息子の家康に正室と嫡男を家の為に切る決断をさせた、於大の方役の栗原小巻氏の熱演も光ったし、海老蔵信長も途中までは怖いというより変な感じもしたけど、実は純粋に弟同然でもある家康をおもてなししようとした優しさもあった等二面性も際立っていて、「これもこれでアリかな。」と思えてきた。海老蔵氏も既に武蔵の時にせめてこれぐらいの演技力があったら良かったのにでしたが・・・・・・・・・・・・・政次処刑話みたいな良い話も5話に1話はあったけど、毎回とまではいかなくともこういう話はせめてもっと、2・3話に1話ぐらいは見たかった。放送前からまあ森下氏はハッキリ言って世間の評判程の脚本家だとは思わないけど、八重の桜とか江とか花燃ゆほどは酷くならないだろうと思っていた。実際ほぼその通りではあったけど、良い点だけじゃなくて悪い点も普通にいくつも目立って結局最後までそれが足を引っ張ってしまって不完全燃焼だったと思います。

それでも、ヤフコメでは肯定的な意見が多く、「視聴率は当てにならない」とか言っていた人もいたけど、確かに私も本作は殆ど録画視聴だったし、総理大臣や政党の支持率同様ある程度の目安に過ぎない面もあるかもしれない。しかし、それを言ったらヤフコメの方がもっともっとアテにならないよで、特に右寄りの人が多いが故に、関係ない話題でも韓国や民主・民進党を叩きたがる国内政治関連が顕著(お前らホントは好きなんじゃないの?だし。だって、ホントに嫌いならば一々積極的に話題にしないじゃん。暇人で余計な事も考える時間があるからそうやって嫌いなの叩いて鬱憤晴らししているのだろうけど)ですが・・・・・・・・・・・確かに私個人も「視聴率は高くなかったけど、個人的には面白かった作品」も「視聴率が高かったけど、個人的には駄作だった作品」はいくつもあります。まあ後者の方がどちらかと言えば多いのですが、全く関係ないという事は少なくともないでしょう。

時代が変われば必要なものも当然変わっていく。どんなに昔を懐かしんでも昔に戻ることは出来ないし、直虎が面白いと言っている人なんて葵徳川以前の大河見た事ないだろとかは偏見というものでしょうし、私自身も昔の作品は見た事ないのが全然多いですが、こういう声を聞いて大河ドラマの低俗化を改めて痛感させられたと言うものまた正直な心情であります。人の感性はそれぞれで、100人いれば100通りの価値観等があるのですが、何故頭ではそう分かっていながら、私は直虎を高評価する意見に違和感を覚えるのか?一回公開したけど、長くなりすぎてしまったので、そうした違和感の理由等続きは新規エントリーとして別に公開します。

|

« もし康京和または文在寅が日本に来たらどう言うべきか | トップページ | おんな城主直虎の終了から改めて見える、大河ドラマの女性を無理押しした等の駄作化と日本の政治劣化との関係性(前編) »

ドラマ・時代劇」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1159637/72484822

この記事へのトラックバック一覧です: おんな城主直虎最終回-「肉体は死しても魂は滅ばず!!受け継がれるおんな城主の生き様!!」(※12/23編集有り):

« もし康京和または文在寅が日本に来たらどう言うべきか | トップページ | おんな城主直虎の終了から改めて見える、大河ドラマの女性を無理押しした等の駄作化と日本の政治劣化との関係性(前編) »