« 世界の良くない流れに日本だけが逆らう事も出来ない | トップページ | キムタクをもっと嫌われ者にする気か? »

2017/05/06

中進国の罠ってホントにあるのか

http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis046/e_dis046a.pdf


これちょっと古いけど、2003年に発表された内閣府経済社会総合研究所のレポートで、チリ経済とアルゼンチン経済を比較したものです。イギリスとの一人当たりGDPの比率も言及されていたけど、おそらく購買力平価説を採用したのでしょうね。アルゼンチンはかってはもっと豊かな国だったらしく、母を訪ねて三千里のマルコの母さんもだからこそアルゼンチンまでわざわざ出稼ぎに行っていたのですが、世界経済のネタ帳というサイトを参考に、1991・2000・2010・2016年におけるG7(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)のそれを100とした場合の中進国とされている国の一人当たりGDP(購買力平価)の規模の変遷を調べてみました。(左から1991・2000・2010・2016年の規模。2016年データは推測もあり。またロシア、ベラルーシ、ラトビア、スロベニア、カザフスタンは1992・2000・2010・2016年のデータとし、エストニア、リトアニア、チェコ、スロバキアは1996年からのデータとした。)

旧ソ連・旧東欧

ロシア 53、38.3、58.2、58.9
ベラルーシ 23.7、20.5、40.9、40
エストニア -、41.4、55.8、65.2
ラトビア 27.6、30.4、45.9、57.2
リトアニア -、33、52.8、66.6
チェコ ‐、56.7、70.7、73.9
スロバキア ‐、42.1、63.1、69.7
ポーランド 30、39.8、54.2、61.7
ハンガリー 47.7、48.7、56.3、61.1
ルーマニア 31.6、27.4、43、49.7
スロベニア 51.2、61.6、72.1、71.3
ブルガリア 37.1、25.5、40.3、45.2
アルバニア 10.3、14.3、24.1、26.3
カザフスタン 33.2、27、50.2、55.9

中東

トルコ 35.7、36、43.4、55.4
イスラエル 62.7、71.2、74.6、78.2

アジア


中国 5、10、23.8、34.2
インド 5.7、6.9、11.4、14.7
韓国 40.4、56.4、76.4、83.9
台湾 53、74、99.2、107
インドネシア 15.2、15.9、21.7、26.1
タイ 22.5、25.2、33.9、37.5
マレーシア 35.9、43.8、52.3、60.6

中南米・アフリカ

メキシコ 40.9、41.1、40.2、42.1
アルゼンチン 38.9、40.8、47.6、44.6
ウルグアイ 33、34.1、42.7、47.9
エクアドル 23.4、20.2、23.4、24.7
コロンビア 24、22.6、27.7、31.4
チリ 30.4、38.5、48.7、53.6
ブラジル 33.4、31.2、36.9、33.9
ベネズエラ 50.4、39.3、42.4、30.6
ペルー 16.7、18、24.5、28.7
南アフリカ 30.4、26.4、30.3、29.4


先進国の定義は曖昧な様で、一応OECD加盟国が該当するとか一人当たりGDPが30000ドル以上だとかの基準はあって、今回のエントリーで調べたこのデータもあくまで「一つの目安」にしかならないでしょうが・・・・・・・・一定以上経済が成長していくと、開発途上国に労働コスト等の面で追い上げられて競争力を失い、かと言って先進国と張り合えるほどの技術力も一歩及ばないから、先進国になかなかなれないのを「中進国の罠」というらしいですが、結論から言ってその中進国の罠から抜け出せたと言えたのはチェコ、スロベニア、イスラエル、台湾、シンガポールぐらいで、近い将来その可能性が高いのがポーランド、ハンガリー、バルト三国、スロバキア(チェコと比べると農業主体だが、一人当たりGDPは30000ドル超えているので先進国と見做してもいいかもしれない)、韓国(GDPはスロバキア同様だが、知的財産権問題等先進国と見做せるかは微妙な要素も少なくない)、マレーシアとやはり多くはないですね。

ロシアはプーチン第一次政権時、原油価格の高騰等で経済好調だったからもっと差が縮まった印象あったけど、ソ連時代末期と比べて大きくそうなったわけでもなく、ポーランド、ハンガリー、エストニア、リトアニアにも抜かされているし、ラトビアにも抜かされそうです。ホントにクリミア問題に突っ込んで何か大きい見返りを得られたのでしょうかね?そうでないからこそ、日本に経済開発援助を取り付けようとしているのでしょうが、北方領土というニンジンをぶら下げて。トルコはエルドアン大統領が首相に就任して以降、2002~14年までで一人当たりGDPを倍増させたと前にも話して、最長2029年までの大統領在任が確定して、その間に今度こそ先進国入りできるか?出来なければこの先も中進国にとどまり続けそうな気がします。

アジアではインドは中進国ですらまだないけど、まあBRICSの一角という事で加えました。人口多すぎなのがネックか。マレーシアが結構印象よりも成長していた感じだったけど、だから公務員も既に2005年には完全週休二日になっていたのでしょうね。中央アジアではカザフスタンが優等生ポジを取っていますが、この国もロシア同様石油依存体質な上に現任大統領とその一族による支配体制な様なので、近い将来資源の呪いから中進国の罠に陥る可能性が高そうです。

中南米は冷戦終結直後はベネズエラがアルゼンチンやチリよりも一人当たりGDP高かったのも意外だったけど、この地域の国々が最もその罠に嵌っていますね。アルゼンチンは当時まだ東西統一されてなかったドイツをG7から除外した場合は1980年時点で59.9、1985年44.8、1990年35.9、1995年42.5、2000年40.9、2005年39.7、2010年48、2015年47.1と軍事政権とフォークランド紛争があった80年代の落ち込みが酷く、ドイツを加えた場合は2011年の49.2が最高でこの年は夫から大統領職を受け継いだ正義党出身の女性大統領が再選された年でしたが、ここ30年間ほぼ40%台で上がったり下がったりしています。そして2014年には前エントリーで言及した通り債務不履行をやってしまって、翌2015年はドイツも加えた場合の比率で46.5と下がって、任期満了に伴う大統領選挙でも擁立候補が敗れ、ペロン主義政党、正義党は野党転落となってしまいましたが、かっての栄光を取り戻す日は来るのか。ベネズエラはチャベスが大統領となっても、反米ナショナリズムで国民を高揚させても経済は好転しなかった様で、亡くなって後継者が大統領となっても余計じり貧になっている様ですが、メキシコ、ブラジル、エクアドル、南アフリカも停滞甚だしいです。チリやウルグアイは比較的伸ばしてきていますが、先進国になるのはまだまだ長い時間がかかると思われます。

「世界には4つの国しかない。先進国、後進国、日本、アルゼンチンである。」はやや極端と言うか、過去の名言となりつつある感もしないでもないですが、やはり中進国の罠から抜け出すのはなかなか容易でない事を今回ちょっと調べただけでも改めて認識させられましたね。日本もアルゼンチンの没落とか決して笑えないと言うか、第二次安倍政権が21世紀以降の歴代内閣で最も経済成長率が低く、民主党政権時代の方が経済成長率高かったと指摘する意見も目にしましたが、民主党も民進党もトータルでは・・・・・・・・ですからね・・・・・・・・・・・・・

|

« 世界の良くない流れに日本だけが逆らう事も出来ない | トップページ | キムタクをもっと嫌われ者にする気か? »

国内・世界経済」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1159637/70484057

この記事へのトラックバック一覧です: 中進国の罠ってホントにあるのか:

« 世界の良くない流れに日本だけが逆らう事も出来ない | トップページ | キムタクをもっと嫌われ者にする気か? »