« トヨタ広報部は変に受け狙いしているのか | トップページ | 今更ながらの映画「悪人」感想 »

2011/11/19

イタリア軍の階級について-大将待遇相当の中将がいる?

今日は特にネタが無いので、またどーでもいい事語ります。

某ウェブコミックでも、その弱体っぷりがネタにされているイタリア軍、NATOにも参加しているのは言うまでもありませんが、大体士官の階級は大きく分けて英米風とロシア風に分かれます。英米風はさらに細かくイギリス風とアメリカ風に分けられ、尉官は大体3段階(但し、ドイツやフィンランドは4段階)ですが、左官は少・中・大・准将で将官は少・中・大のイギリス風と、左官は大佐までで、将官は准・少・中・大のアメリカ風に分かれます。

前者はイギリス・ノルウェー・チェコ、後者はアメリカ・フランス・ドイツ・カナダ(イギリス連邦のメンバーだが、准将は将官扱い)が該当し、イタリア軍も後者に該当しますが、同軍はまた特に将官の階級が特殊なのです。

http://it.wikipedia.org/wiki/Generale_di_corpo_d%27armata

第二次世界大戦時のイタリア陸軍の階級は、准将がGenerale di Brigata、少将がGenerale di Divisione、中将がGenerale di Corpo d'Armata、とそれぞれ呼称され、海軍の階級は代将がContrammiraglio、少将がAmmiraglio di Divisione、中将がAmmiraglio di Squadra、とそれぞれ呼称されていました。空軍は陸軍の呼称にさらにaereaが付きます。

http://tieba.baidu.com/f?ct=335675392&tn=baiduPostBrowser&sc=13410801158&z=1067809223

ところが、陸軍大将はGenerale d'Armata、海軍大将はAmmiraglio d’Armataと呼称されるはずなのですが、その大将と中将の間にそれぞれGenerale designato d'ArmataAmmiraglio designato d’Armataという特有の呼称な階級があったのです。階級章は中将のそれに中央の黄色い線がプラスされていて、この中国語のサイトでは階級が1段階ずれてますが、上級中将または下級大将、大将補と訳されるべきでしょうか。

http://it.wikipedia.org/wiki/Gradi_e_qualifiche_dell%27Esercito_Italiano

http://it.wikipedia.org/wiki/Gradi_e_qualifiche_della_Marina_Militare

http://it.wikipedia.org/wiki/Gradi_e_qualifiche_dell%27Aeronautica_Militare

http://it.wikipedia.org/wiki/Gradi_e_qualifiche_dell%27Arma_dei_Carabinieri

http://it.wikipedia.org/wiki/Gradi_e_qualifiche_della_Guardia_di_Finanza

現在のイタリア共和国軍には、陸海空三軍の他にも、国家憲兵組織であるカラビニエリと準軍事組織である財務警察が存在しますが、陸軍では直訳で軍団将軍であるGenerale di Corpo d'Armata、海軍では直訳で艦隊提督であるAmmiraglio di Squadraが相当する中将が、最高の階級にそのままなったのかと言うと、どーもそうでもなかったのです。

空軍ではgenerale di squadra aereaが、カラビニエリと財務警察では、陸軍同様Generale di Corpo d'Armataがやはり中将に相当して、既に海軍では第二次世界大戦時にはそうなっていたようですが、海軍以外にも、この中将な筈の階級にはさらに二つに分けられているのです。

一つは、既に使用されていた普通のGenerale di Corpo d'ArmataAmmiraglio di Squadragenerale di squadra aereaで、階級章は他の殆どの国の中将同様三ツ星ですが、もう一つ、Generale di Corpo d'Armata con incarichi specialiAmmiraglio di Squadra con incarichispecialiGenerale di squadra aerea con incarichi specialiという呼称が用いられており、階級章も、赤い淵で彩られている星一つを含む、四ツ星となっています。これらの階級には陸海空軍各参謀総長と、カラビニエリ・財務警察の司令官が充てられるのです。

カラビニエリと財務警察はまた、副司令官も三ツ星いずれも赤い淵で彩られており、普通の中将とは別待遇の扱いです。陸軍はさらに複雑で、色々な役割により、准将や少将にも赤い淵で彩られた星の階級章が見られます。

http://en.wikipedia.org/wiki/Comparative_military_ranks_of_World_War_I

しかし、さらに遡って第一次世界大戦時の陸海軍の階級を見ると、大将に相当する呼称は、陸軍ではTenente Generale in Comando di Armata、海軍ではVice Ammiraglio d’Armataとなっているのです。直訳すると、それぞれ「軍の司令官たる中将」、「軍の副提督」です。

http://it.wikipedia.org/wiki/Distintivi_di_grado_e_di_qualifica_italiani

wikipediaでは、英語版やドイツ語版では陸海空軍各参謀総長を務めた軍人達も中将扱いにされていますが、陸海空軍参謀総長とカラビニエリ・財務警察司令官はまた、階級を表す「旗」も、国防参謀総長同様四ツ星(淵の色も、階級章とは違い、いずれも同じ)で普通の中将の三ツ星とはやはり区別されています。要するに自衛隊の「幕僚長たる将」と似ていると言うか、con incarichi specialiは「参謀総長又は総司令官たる中将」で、法令上の階級は中将だが、実質的な待遇は大将相当なのでしょう。

自衛隊の統合幕僚長に相当する国防参謀総長も、かってはGenerale di Corpo d'ArmataAmmiraglio di SquadraGenerale di squadra aereaが充てられてきましたが、1995年に法令上でも大将と訳されるGeneraleとAmmiraglioが制定されたらしいです。(第二次世界大戦終戦直後までは元帥・大将級の将官が就任していた)

階級章も当然他の国の大将同様、いずれも同じ色の淵である四ツ星で、国防参謀総長以外にも、NATO軍事委員会議長にも充てられますが、この階級を授与された初の国防参謀総長はGuido Venturoni海軍大将です。1994年に就任した1年後のことでした。国防参謀総長はまた、1970年代以降は陸海空軍の各出身者がほぼ交代で就任していますが、空軍ではMario Arpino空軍大将、陸軍ではRolando Mosca Moschini陸軍大将が「初のGenerale」となっています。

http://it.wikipedia.org/wiki/File:Giampaolo_Di_Paola.jpg

NATO軍事委員会議長では、イタリア軍からは3人歴任者がいますが、いずれも国防参謀総長を退任後に就任しています。2008年には、ジャンパオロ・ディ・パオラ海軍大将が、やはり前任は国防参謀総長でしたが、失言や魚色家ぶり等何かと物議を醸してきたシルヴィオ・ベルルスコーニからマリオ・モンティへの政権交代に伴い、今週11月16日に国防相に就任しました。よって、軍事委員会議長の方は今年限りで御役御免なようですが、なかなかのナイスミドルなこのオジさん、軍のトップからNATO軍事部門のトップ、そして制服組からの入閣は15年ぶりの事らしいですが、まさにエリート中のエリートですね。(なお、軍事委員会議長の後任は11月18日現在では未定のようです。)

http://rankmaven.tripod.com/NATO-92-RM.htm

NATOの士官階級コードはOF-1~10までの10段階があって、1は少尉と中尉、2が大尉(とドイツ連邦軍・ベルギー軍での本部大尉等も)、3が少佐で、4が中佐、5が大佐、6が准将、7が少将、8が中将で9が大将、そして10が元帥ですが、イタリア軍では「参謀総長または総司令官たる中将」と思われる、Generale di Corpo d'Armata con incarichi specialiAmmiraglio di Squadra con incarichispecialiGenerale di squadra aerea con incarichi specialiがやはりOF-9相当らしいです。しかし、GeneraleまたはAmmiraglioは、OF-9か10かはサイトによっても異なり、ハッキリは分かりませんでした。

上記は1992年次のNATO階級コードを各国ごとに記したサイトですが、何故か戦中までの階級だったはずのGenerale d'ArmataAmmiraglio di ArmataがOF-10扱いとなっています。同じ敗戦国の軍隊でも、イタリア共和国軍はドイツ連邦軍や自衛隊とは違い、イタリア統一戦争等敗戦前からの歴史的な繋がりが無くなったわけではないようですが、廃止されたわけではなく、建前上は「正式な法令上の大将」として存在していたのでしょう。そして、1995年に正式に廃止され、GeneraleとAmmiraglioが代わりに制定されたと言う事なのだろうけど、正確にはイタリア軍は中将ではなく大将が、「法令上でも正式な大将」と、「中将が受けるべき待遇の大将」の二階級に分かれていると言えるのかもしれません。

|

« トヨタ広報部は変に受け狙いしているのか | トップページ | 今更ながらの映画「悪人」感想 »

軍事」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1159637/43070164

この記事へのトラックバック一覧です: イタリア軍の階級について-大将待遇相当の中将がいる?:

« トヨタ広報部は変に受け狙いしているのか | トップページ | 今更ながらの映画「悪人」感想 »