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2011/07/02

アメリカ合衆国の元帥達

2008年11月、兵站畑で主に活躍しているアン・ダンウッディが初の「四つ星女性大将」に昇進したのが話題となりましたが、現在アメリカ軍の現役大将は陸軍11人、海軍も11人、空軍13人、海兵隊4人、沿岸警備隊1人の計40人もいるようです。

しかし、過去ログでも言った様にそんな世界最強のアメリカ軍も最初から規模が大きかったわけではなく、当然将官の人数もそんな多くはいらなかったから、「建国の父」ジョージ・ワシントンですら生前の最高階級は中将でした。

彼の階級を超えるなんて畏れ多いという理由で建国後長く最高階級は陸軍は少将、海軍は大佐(代将はこの当時は階級ではない)にとどまったのですが、陸軍では米墨戦争終戦後にウィンフィールド・スコットが2人目の中将となり、南北戦争終結後にとうとう大将を飛び越して合衆国陸軍元帥が設けられました。英語での表記は、General of the Army of the United Statesでありながら、給与等級は現在のGeneral(大将)と同じO-10でしたが、アメリカでは、本来元帥を意味するMarschalが階級的で民主共和主義国家にはそぐわないという理由で使われていないのです。故に位置づけがややこしくなっているのですが、階級とは別の称号だった意味合いもあったようで後に大統領にも就任したユリシーズ・グラント、ウィリアム・シャーマン、フィリップ・シェルダンの3人が授与されています。ただしまた、南北戦争時に高級指揮官として活躍した前の2人は四つ星の階級章を付ける事が許されましたが、当時まだ中尉に過ぎなかったシェルダンは二つ星+合衆国国章の階級章と同じ合衆国陸軍元帥でも待遇には違いが見られたようです。中将の階級が一旦廃止された事がその理由でしたが、ますますややこしいですね。

シェルダンは授与されて僅か2ヵ月後に亡くなった為、27年ぶりに陸軍最高階級は少将に戻りましたが、1895年に中将は復活して、現在の陸軍参謀総長に相当する、陸軍総司令官を務めていたジョン・スコフィールドが復活した階級としての第一中将となりました。彼もそれから僅か7ヵ月後に引退し、後任のネルソン・マイルズが復活後2人目の中将になったかと思いきや、直ぐには昇進できず、米西戦争で手柄を立てた後の1900年に漸く授与されています。マイルズは1903年に引退しましたが、最後の陸軍総司令官でもありました。

海軍もやはり南北戦争効果(?)で少将、中将、大将が次々と設けられ、大将にはデイビッド・ファラガットとディビット・ポーターが授与されましたが、合衆国陸軍元帥同様あくまで戦争の手柄に報いるが故の特別昇進な意味合いが強かったようです。しかし、合衆国陸軍元帥とは違い、純粋な階級ではあるけど、待遇では下位に位置づけられていたのでしょうかね。この当時の大将(Admiral)は。余計ややこしい。

しかしそうかと思えば、前述通り陸軍では米西戦争効果(?)を持っても、やっとマイルズ一人が中将になったのに対し、海軍ではマニラ湾海戦での指揮で一躍英雄となったジョージ・デューイが1899年3月8日に3人目の海軍大将になったかと思えば、形式的には制定された6日前の3月2日をもって海軍大元帥にまで昇進したのです。しかし、大元帥と言っても、実際はイギリス海軍での海軍元帥と同格だったと言うからこれまたややこしい。ちなみに、デューイは1917年1月に亡くなるまで生涯現役を貫きましたが、この間イギリス海軍ではジェームス・アースキン等12人の海軍元帥が登場しています。アメリカが第一次世界大戦に参戦したのはデューイの死から3ヵ月後でしたので、共に作戦をとる事はありませんでしたが・・・・・・・・・・

結局の所、現在でもフランス軍では建前としてはそうらしいですが、中将以上の階級は戦争で特別に功績を挙げる事が無い限りは、それ相当の職務を担当する事になった少将に対し授与可能な地位だったようです。

実際第一次世界大戦の参戦後は、ジョン・パーシングが陸軍大元帥、タスカー・ブリス「初のGeneral表記(General of the Army of the United Statesではなく)としての」陸軍大将となりましたが、ブリスの昇進は前述のマイルズ退役に伴い、新たに設置された陸軍参謀総長就任に伴うものであり、パーシングがその後任を1924年まで3年間務めて退役したのですが、そのまた後任のジョン・ハインズはとうとう少将のまま退任して6年後の1932年に退役したし、次のチャールズ・サマーオールも直ぐには昇進できず、就任して3年後の1929年に漸く大将になった。GHQの総司令官として有名なダグラス・マッカーサーはそのサマーオールの次に就任しましたが、1935年の退任時は、まだ退役する歳では無かった為少将に降格となったまま一旦退役しています。

対する海軍は、陸軍参謀総長に相当する海軍作戦部長が設置されたのは1915年の事で、初代部長のウィリアム・ベンソンは就任時は少将でしたが、第一次世界大戦参戦直前に大将に2階級昇進して以降は今日まで大将が充てられており、退任による降格は見られない違いがあったのは興味深い。

しかし、第二次世界大戦の参戦でさらに将官の人数を増やさなければならなくなり、また西部戦線や太平洋で共同作戦を取る事になったイギリス軍にはバーナード・モンドコメリー等の元帥がいた為、アメリカ軍も元帥を設けないとバランスが取れなくなってしまったのです。陸海軍それぞれ4人が元帥に昇進し、一旦退役していたマッカーサーも、アメリカの参戦で3階級昇進を果たす事になりましたが、出色は後に彼が果たせなかった大統領就任を実現したドワイト・アイゼンハワーだったでしょう。

30歳で少佐となったまでは良かったが、その後中佐に昇進するまで16年も掛かった彼、勃発時もそのままだったかと思いきや、僅か5年少しで元帥にまで登り詰めた。それも、西部戦線でノルマンディー上陸作戦を成功に導く等勿論英雄的な働きによるものだったけど、1944年に制定されたこの陸軍元帥と海軍元帥、そして戦後空軍が創設された後の1949年に制定された空軍元帥(既に陸軍元帥で、陸軍航空軍司令官だったヘンリー・アーノルドが授与された)は、他の国の元帥と違って将官階級の一つという位置づけなのです。その為か、ソ連及び現在のロシアでは、合衆国陸軍元帥と陸海空軍各元帥とはソ連邦元帥と同格ではなく、ソ連邦上級大将及び海軍元帥(~1945年&1962~1991)と同格と見られているようです。(※これもややこしいのだが、ソ連海軍での海軍元帥は1945年までは上級大将に相当したが、以降は1955年までソ連邦元帥相当に格上げされ、さらに同年からはソ連邦海軍元帥に呼称が変更された。つまり、17年間ソ連海軍では、大将の次はいきなり2階級上の元帥が位置づけられていたのだが、1962年に再び陸軍上級大将に相当する海軍元帥が復活したのです。なお現在のロシア連邦軍には、海軍も上級大将の階級は存在しますが、3人しか授与されておらず、彼らいずれも現役引退しているようです)

となると、つまりアイゼンハワーやマッカーサー、アーノルド、それにマーシャルプラン等で有名なジョージ・マーシャルは、ゲオルギー・ジューコフやアレクサンドル・ヴァシレフスキー、イワン・コーネフらと較べて格下であり、上級大将であったマルキアン・ポポフやアレクセイ・アントーノフ等とやっと同格になったに過ぎなかったという事か。いや、確かにベルリンを実際に陥落させたのはアメリカではなく、ソ連だったが・・・・・・・・また、中国では五星上将と呼称されているようだけど、2度の階級制度が設けられた1955年と1988年に、大将に相当する上将を2度授与され、六星上将とも(一部)称されている洪学智と較べても格下という事になってしまうのですかね?何だか悲しいと言うか?

なお、彼ら五つ星元帥の登場でそれぞれ陸軍大元帥・海軍大元帥となっていたパーシング・デューイの扱いをどうするか(パーシングは陸海各軍元帥制定時はまだ存命中だった)改めて問題となったけど、階級上は彼らよりもさらに格上という事で決着はついたようです。さらに実際に六つ星の階級章を帯びた陸軍大元帥をマッカーサーに、デューイの海軍大元帥と同格の旗艦提督を海軍元帥だったチェスター・ミニッツに授与しようという話も出たらしいけど、これも自然消滅したらしい。しかし、中国では何故かパーシングだけが特級上将扱いとなっているらしいです。

つまり、パーシングとデューイだけがやっとソ連邦元帥達や洪と同格なのか?な変な疑問(洪が六星上将なら、ドイツ国防軍では三つ星、戦後の連邦軍では四つ星大将となったヨーゼフ・カムフーバーは七星上将となってしまうが・・・・・・・・)も湧いてきたけど・・・・・・・・・・

何度もアメリカが直面してきた戦争や空軍創設のみならず、海兵隊正副総司令官(副総司令官は1960年代後半以降)や沿岸警備隊長官も大将ポストとなったため、軍人としても最高序列であったはずのワシントンよりも高位の軍人が多数続出したのも問題になってきました。そこで1976年にワシントンに陸軍大元帥の階級を授与したのですが、それだけだとパーシングという同位者がまだいたから、永久に序列最高位である事を明記したのです。

元帥は1950年のオマー・ブラッドレーを最後に授与者は出ていませんが、1991年の湾岸戦争勝利後、ベトナム戦争敗北と不況で傷ついていたアメリカの威信回復に大きく貢献したという事で統合参謀本部議長で、後にブッシュ保安官政権下で国務長官も務めたコリン・パウエルと中央軍司令官であったノーマン・シュワルツコフに授与しようという話も出ましたが、前者は結局見送られ、後者も陸軍参謀総長就任も打診されたらしい(そうなると、パウエルも自動的に元帥としなければいけないけど、彼の場合授与の提案が出たのは1993年に退役した後の事)けど、もう思い残す事は無かったのか、間もなく退役したようです。まあ、今後大きな戦争が無い限りは当分元帥は登場しないでしょう。「世界の警察」アメリカの事だからそれはまた近いうちに起こりそうだけど・・・・・・・

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