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2010/06/08

兄は国防委員長として依然健在、そして弟は副委員長に・・・・・・・

http://jp.wsj.com/World/node_68751

北朝鮮、金総書記義弟が昇格―権力移譲の布石か

 【ソウル】北朝鮮の金正日総書記は7日、ここ数年間でナンバー2になったとみられる義弟の張成沢(国防委員)を正式にナンバー2の地位である国防委員会副委員長とした。

 また、以前から親しい崔永林氏を首相に指名した。首相は同国の制度では名目上2番目の地位とされるが、専門家は国防委副委員長より下とみている。 

 金正日総書記は人事異動を決めた今回の最高人民会議を主宰した。例年は年に1回しか開かれない人民会議は今年2回目であり、異例のことだ。同総書記は4月の定例会議には姿を見せなかった。

 専門家らは北朝鮮のメディアの言葉から判断して、今回の異動は最高権力を息子の1人に譲り、6カ月前の市場活動取り締まり失敗を解決しようとする同総書記の努力に関連したものとみている。最近の韓国の哨戒艦「天安」の沈没事件をめぐる韓国との紛争は関係ないようだと専門家は述べている。

 西江大学(ソウル)の金英秀教授は「天安」問題についての議論はなかった」とし、「国内政治と管理により焦点が当てられた」と話した。

 北朝鮮の最高権力機関である国防委の副委員長に指名された張成沢氏は金総書記の妹の夫。同委員会委員長は金総書記が務める。

 このほか、崔永林氏が金永逸氏の後任として首相に就任する。金永逸氏は数多い外国訪問で、外国の指導者との交流は金総書記よりも多い。2人の金氏の間に血縁関係はない。

 首相の交代は、その規模などから外国にも知られるような反動を招いた昨年12月からの経済改革に関連しているようだ、と専門家らはみている。金教授は、閣僚らもこの理由で交代させられたと述べた。同教授は、北朝鮮の公式発表では「更迭(recall)」という言葉が使われると指摘。「北朝鮮ではこの『更迭』は、その人物が誤った政策運営をしてその責任を取るべきだということを意味する」と述べた。

 張成沢氏(64)は2007年以来、金総書記の一番の側近で、総書記の3男、金ジョンウン氏を総書記の後継者とするのに同国エリート階級の支援を集める上で重要な役割を演じてきたとみられている。同氏は昨年、国防委員会委員に選ばれたばかりだ。

張成沢と言えば、たまたま地元の大型古本屋で購入した、「金正日の正体」で描かれていたエピソードだったけど、親父の金日成に好かれていなかった彼を、将軍様が自分の妹(将軍様は妹を大事にしていた)と引き合わせた。しかし、夫婦喧嘩していたのに激怒した将軍様が「わしの妹に手を出す事は、わしに手を出す事と同じだぞ!!」と空砲で脅した後、工場で数年労働させたくだりとかもインパクト強かったですね。

その後は一時は失脚が噂されながらも、義兄・金正日の側近として活躍している彼ですが、首相といえば、かってはその金日成も1948年から72年まで首相を務めていました。彼は周知の通りミニスターリンの一人で、だからこそ36歳の若さで一国の最高指導者になれたのだけど、数々の派閥(金日成も本来はその内の一つ、満州派の親玉に過ぎなかった)に分かれていたのを時には身内まで粛清(その身内の一人、崔光も粛清期末期に一時失脚したが、最終的に元帥まで出世している)、ライバルがいなくなってから国家主席となり、さらに自らの権力を強化した所はスターリンに良く似ています。

実際スターリンも、首相だったレーニンが死んですぐ最高指導者になったわけではなく、ライバルのレフ・トロツキーを追い出す為にレフ・カーメネフ、グリゴリー・ジノヴィエフとトロイカを組んでいたし、レーニンの後任の首相はアレクセイ・ルイコフでした。しかし、社会主義国家では党が国家を牛耳るわけだから、その実務の長だった書記長がどうしても絶対的な権力者になってしまう。このトロイカは数年しか続かず、正式に最高権力者になった後ルイコフも首相を子分のヴァチェスラフ・モロトフに譲らされ、彼ら革命の元勲達を粛清した後書記長だけでなく、首相(人民委員会議長)も兼ねる事になった。この1941年5月6日時点で、スターリン以外に生き残っていたオールドポリシェヴィキはミハイル・カリーニン、マクシム・リトヴィノフ、アレクサンドラ・コロンタイ等少数しかいません。(しかも、リトヴィノフは1951年に自動車事故で亡くなったが、これもスターリンによる暗殺説がある)レーニン内閣の閣僚(人民委員)の多くは大粛清の犠牲となりましたが、初期金日成内閣のメンバーも殆どが良い死に方をしていなかったのです。

そのようなスターリン流用心深さのなせる技で、権力を集中させ、今度は自分の息子への世襲体制(この過程も、別の意味で結構面白いのだけど、それはまた後の機会に)を固めた金日成ですが、晩年国防委員長や、朝鮮人民軍最高司令官等を息子の将軍様に譲らされる等次第に実験を奪われていったのは皮肉だったと思います。特に朝鮮人民軍最高司令官の方については、その就任祝いに何百人もの軍の高級幹部を昇進させる「大振る舞い」を見せたのですが、天国(地獄に行っている可能性の方が高いか?)でのスターリンが見ていたら、イワン雷帝に対してのと同じように「ツメが甘い」と批判していたかもしれない。そしてその将軍様も、贅沢な生活がたたって病に侵され、激やせしたと思ったら・・・・・・・・・

将軍様亡き後は、3男を形式的に最高指導者にはするが、スターリン死去直後のソ連のような集団指導体制にする構想があると聞きました。結局ゲオルギー・マレンコフは、首相ではなく、書記長の方を二キータ・フルシチョフに譲ってしまった為に失脚の憂き目を見て、フルシチョフ自身もその後任のニコライ・ブルガーニンとも対立して排除した。首相をも兼任する、そうした体制を無視する態度を取った為に彼もまた失脚する事となったのですが、さあ北朝鮮の場合はどうなるか。

実は金日成死去後、主席制度は「金日成同志は永遠の主席である」として1998年に廃止され、一応形式的に最高人民会議常任委員会委員長が国家元首という事になっていますが、実験は無い名誉職です。ソ連で言えば、全露中央執行委員長、ソ連最高幹部会議議長(1938年以降)に相当しますが、前述のカリーニンが粛清されなかったのもソビエト政権成立直後からこのような名誉職についていたからです。北朝鮮では金永南がこの職に就いており、党の序列では2位ですが、既に82歳の老人です。張成沢も、義父晩年の将軍様みたいに自分の都合のいい様に憲法等を改正して実質的最高権力者となるのか?それとも、ソ連ゴルバチョフ政権直後のアンドレイ・グロムイコのように、成すすべも無く形式的な国家元首に祭り上げられてしまうのか?将軍様もまだ何年かは生きそうだけど・・・・・・・・・

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