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2010/06/22

もういいよ。2010年ロシアと資源外交

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010062200671

ベラルーシ向けガス供給30%削減=紛争激化の様相-ロシア国営ガスプロム

 【モスクワ時事】ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムのミレル社長は22日、ベラルーシのガス代金未払い問題で、同国へのガス供給削減率を前日の15%から30%に引き上げたことを明らかにした。インタファクス通信が伝えた。
 ガスプロムはベラルーシの未払いが1億9200万ドル(約174億円)に上るとして、21日からガス供給削減を開始。未払い分が清算されなければ段階的に削減率を85%まで引き上げる方針。
 一方、モスクワに滞在していたセマシコ第1副首相率いるベラルーシ政府代表団は22日、交渉を打ち切って帰国した。ガスプロムによると、代表団はガスプロムへの書簡で、ガス供給がこれ以上削減されれば、ベラルーシ経由の欧州向けパイプラインからガスを抜き取ると警告しており、ガス紛争は激化する様相を見せている。(2010/06/22-17:47)

「ベラルーシのヒトラー」なアレクサンドル・ルカシェンコが独裁者として君臨しているベラルーシ、そんな隣国がロシアと西欧との間でのらりくらりやっていたかと思えば、また西欧よりになっているのをロシアは面白く思わなくて・・・・・・・というのが今回一連の資源外交(恐喝と言った方が正確か?)の真相なようです。

そう言えば今日はまた、独ソ戦の始まりとなるバルバロッサ作戦が行われた日でもあったけど、1991年にソ連が崩壊しても、「自分たちの決めた縄張りは何としても死守。侵すものは力づくで潰す」ロシアの地政学原理は崩壊したわけではありません。寧ろ21世紀プーチン政権以降の国力回復で復活していますが、この記事を目にして第一に思った事は、「ロシア及びロシア人はあの世界金融危機の事をもう忘れてしまったのか?」です。

確かにウラジミール・プーチンその人は有能である事は否定しません。ボリス・エリツィン時代末期の1999年以降2008年まで高い経済成長率を維持してきました。しかし、それは他でも散々指摘されている通り石油等エネルギー資源による所が大きく、旧ソ連全体で見ればやっと1989年水準(GDP購買力平価換算)に戻った程度だったのです。やっと国力回復してきたと思ったらブッシュ保安官の無能等ゆえの世界金融危機です。原油価格は急落。ロシア2009年の成長率は主要国の中では大きな落ち込みでした。

http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/cccp-usa-coldwar1947-1991-sai-axx.htm

http://www.pwblog.com/user/SGW/SGW/36085.html

原油価格は生き物です。いつ上がるか下がるかは100%予測は出来ません。実はこれもダグラス・レイノルズという人が既に指摘していた事でしたが、ロシアのエネルギー資源依存はプーチン政権に始まった事ではなく、既にソ連時代から見られました。第一次オイルショックは1973年10月に起こり、翌74年春には72年末の約5倍まで跳ね上がりました。当時のブレジネフ政権も、「停滞の時代」と言われていますが、政権に就いた次の年の1965年からこの第一次オイルショックが起こった直後の1974年までの平均経済成長率は4.5%。フルシチョフ時代(1954~64年)の5.4%に比べればやや下がりますが、悪い数字ではありません。アメリカの3.7%を凌いでいます。政権初期、プラハ侵攻までコスイギン改革が限定的ながらも行われていた事もあったのでしょうが、やはり上2番目のHPでも指摘されている通りエネルギーによって、ある程度の誤魔化しが効いていたのです。ブレジネフ政権前半のこうした「誤魔化し」もあって、ソ連はインドシナやアフリカ等にも影響力を拡大していきました。

しかし、政権後半の1975~82年は前半の半分も無い1.6%。(アメリカは2.3%)この間第二次オイルショックが起こりましたが、世界経済に対する影響は一次のようには大きいものではありませんでした。先進国は技術革新・合理化などで乗り切ったのですが、ソ連は奇しくもこの時期、レフ・トロツキーがかって唱えた「世界革命」の進行に調子づくあまりアフガニスタンに手を出す失敗も犯しました。既に資本主義でも社会主義でもない、イスラム原理主義という21世紀以降の世界のキーとなる存在が登場してきたのにです。ソ連崩壊はエネルギー資源生産等の伸び悩みもその原因の一つだったのです。

そして2003年~07年の第3次オイルショックでまた恩恵にあずかったと思ったら・・・・・・・・近隣諸国を自国の裏庭とみなす傲慢な覇権主義はアメリカにもありますが、ロシアと欧米の決定的な違いは産業技術力と産業競争力です。アメリカと世界を二分した、偉大な労働者の祖国な筈だったソ連も、ブレジネフ政権以降ドンドンこの点で遅れを取るようになり、それを取り戻せないまま崩壊した。ブレジネフ時代前半までは経済的にもそれなりだったが、繰り返し言う様にそれはエネルギー資源という誤魔化しによる所もあった。新星ロシアのプーチン政権時代も、まさに「歴史は繰り返す」と言うか、そうしたエネルギー資源を活力として、ブレジネフ政権時代、インドシナやアフリカ等に影響力を及ぼしたように中国と盟友化、ベネズエラやエクアドル等との反米国家とも連携を取り合い、ウクライナやベラルーシ等他CIS諸国に対してはこのような資源外交という切り札を惜しげもなく使っていますが、やはりそれは実際の国力よりも威勢よく見せるための「誤魔化し」に過ぎません。

石油価格はまた上昇してきているとはいえ、今年・来年の見込み経済成長率は3%強程度です。サウジアラビアやアラブ首長国連合も国民所得は高いですが、先進国ではありません。世界金融危機に直面した今のロシアにとって大事なのは、価格が不安定なエネルギー資源等に頼って、ソ連時代のように「身の丈不相応な虚勢を張る」事ではなく、欧米や日本と対等に渡り合える産業技術力・産業競争力を、この金融危機を今度こそ教訓として高め、「本当に誇りを持てる大国」としていく事なのだと思います。それなくして「真の進歩」はあり得ません。ロシアが覇権主義等に固執する時代はもう終わったのです。しかし、2024年まで続く見込みなプーチン王朝下で果たしてそれが出来るか・・・・・・・・・・・本当に愛国心があるロシア国民なら分かる筈だとは思うけど・・・・・・・

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