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2009/11/18

グレインキーのサイヤング賞とカンザスシティロイヤルズの黄昏

http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/major/news/20091118k0000e050026000c.html

大リーグ:サイ・ヤング賞にロイヤルズのグリンキー

 【ニューヨーク小坂大】米大リーグ、ア・リーグのサイ・ヤング賞(最優秀投手)が17日発表され、ロイヤルズの右腕、ザック・グリンキー投手(26)が初めて受賞した。

 今季33試合に先発したグリンキーは150キロ台の直球、100キロ前後のカーブに、今季からチェンジアップを効果的に織り交ぜた投球で、16勝8敗の好成績を上げた。防御率2.16は両リーグ通じて1位、奪三振242個は両リーグ通じて3位。中地区で同率最下位と低迷したヒルマン監督(元日本ハム監督)率いるロイヤルズの投手陣を1人で支えた。

 同賞は全米野球記者協会の投票で選出。ア・リーグは記者28人がそれぞれが3人を連記して、1位が5点、2位が3点、3位が1点となり合計点で決まる。今回はヘルナンデス(マリナーズ)、サバシア(ヤンキース)、バーランダー(タイガース)と最多勝(19勝)を獲得した3人との争いに注目が集まった。

 グリンキーは勝ち星こそ劣ったものの「打線の援護のないロイヤルズでなければ20勝はした」と評された投球内容や、06年に精神疾患の社会不安障害となりながら乗り越えたことで1位票25(計134点)と大多数の支持を得た。2位はヘルナンデスで1位票2(80点)、3位はバーランダーの1位票1(14点)だった。

ザック・グリンキーじゃなくて、ザック・グレインキーなのではと思うけど、まあそれはどうでもいい。日本ハムの連続リーグ優勝に貢献したトレイ・ヒルマン監督を迎えた昨年のカンザスシティロイヤルズは、前半戦こそ大型連敗があったけど、後半戦やや盛り返して僅差で最下位だけは免れました。元々MLBは、アメリカンリーグもナショナルリーグも中地区の戦力レベルは高いとはいえないのですが、今年はどうかなとそれなりに注目していました。しかし、投手陣は前述のグレインキーと、ストッパーのホアキム・ソリア頼みだったし、野手陣もビリー・バトラーの開眼(但し、守備力は低い。)はありましたが、得点力は下から数えた方が早かった。後半戦は首位を走っていたデトロイト・タイガースに終盤の6試合で5勝1敗と意地を見せましたが、結局オールスターを挟んだ10連敗等もあって、前半戦は37勝51敗.420でしたが、後半戦も28勝46敗.378と勝率は上がるどころか寧ろ下がって、クリーブランドインディアンズとの同率ながら、また地区最下位に逆戻りしてしまいました。

思えば、ロイヤルズは日本の広島東洋カープに似ていると思います。共に創立期は弱小でしたが、1970年代後半に強豪チームの仲間入りをしました。ロイヤルズはジョージ・ブレットが21年間ロイヤルズ一筋でプレーし、3つの年代(1970~90年代)で首位打者を獲得しましたが、これは長い間一流の成績を維持していてもなかなか出来ない快挙でした。総合力では同じ三塁を守ったマイク・シュミットブルックス・ロビンソンに決してひけを取らなかったと思いますが、ロイヤルズは同じミズーリー州を本拠地とするセントルイス・カーディナルスを破って初の世界一に輝いた直後、広島は巨人とのデッドヒートの末に5度目のリーグ優勝を成し遂げた直後、それぞれ80年代後半にはチーム力にかげりが見え始める事になります。広島は、1993年にヤクルトとの16-17の乱打戦を落す等野村謙二郎・江藤・前田等若手野手陣が育ってきたと思ったら、今度は看板の筈だった投手陣が崩壊、19年ぶりに最下位に転落し、以降長く投手力低下に苦しめられ、Aクラス入りは4度(1998年以降は12シーズン連続Bクラス)にとどまっていますが、ロイヤルズも90年代中盤は3、3、2位とやや盛り返すも、1996年には創立初の最下位に転落し、以降今年までの14シーズンで8シーズンも最下位に沈んでいます。

2003年はトニー・ペーニャ監督の元、ほぼ最後まで地区優勝争いをし、最終的にはミネソタツインズに7ゲーム差の3位でしたが、野手陣はともかく、投手陣の弱体ぶりは変わらず、規定投球回数に達したのは阪神・巨人でもプレーし、日本のファンもお馴染みなダレル・メイだけでした。この年のロイヤルズの躍進とは対照的に、デトロイトタイガースは実に119敗も喫し、勝率は同じ虎でも、あの暗黒時代の阪神ですら記録しておらず、楽天1年目のそれよりも低い2割6分5厘と体たらく。アメリカンリーグ中地区のレベルの低さに助けられた感は否めませんでした。案の定、この躍進は1年限りで翌年からは3年連続100敗に沈みました。ただ2006年は、2009年も前述どおりタイガースとの終盤6試合で5勝した一方、最後のカードだったミネソタでのツインズにはあっさり3連敗を喫する等ツインズの中地区優勝を後押しする形となってしまいましたが、この年も土壇場で、3年前とは打って変わって優勝争いしていたタイガースに3連勝し、地区優勝は阻止しています。ただタイガースはワイルドカードでプレーオフに出場、そこでも勝ち抜いて22年ぶりにワールドシリーズに進出した(タイガースのジム・リーランド、カーディナルスのトニー・ラルーサ両監督、軍配はカーディナルスに上がったが、どちらが勝っても「初の両リーグ世界一監督」となっていた。)のですが。

暗黒時代に突入してしまったロイヤルズにとっての最たる不幸は、マイク・スウィーニーが力を発揮しきれず、もう一人の主力打者、カルロス・ベルトランも結局放出してしまった事だと思います。スウィーニーは2001年までは順調にスラッガーとしての道を歩んでいたかと思ったら、2002年以降怪我がちになってしまいました。2003・2004年は100試合出場がやっとで、2005年は122試合出場、規定打席にも達し、打率.300・21本塁打・83打点と一定の成績も残しましたが、この年を最後に3桁試合数出場すら出来なくなってしまいました。シアトルマリナーズに移籍した今年もわずか74試合出場、本塁打も8本と到底期待にこたえたとは言い難い成績に終わりました。古巣出戻りのケン・グリフィーJRもやはりフル出場できず、マリナーズは4月好調も、5月に躓き、結局イチローが9シーズン連続200本安打を打ち、その内容が疑問視(実際私も表面の記録ほどの内容はなかったと思います。勿論アンチのように全否定するのにも反対であるのは変わりませんが。)されながらも、OPSがチーム2位である事からも分かるとおり投高打低で、その躓きを挽回できないまま、勝ち越すのがやっとのシーズンで終えてしまいました。故障に悩むシーズンを続けているうちに、いつの間にか30代後半に突入してしまった彼ですが、来年もかっての活躍を望むのは難しいと思います。というか、近年のマリナーズの野手補強、金はあるから積極的には行っているけど、全体的に失敗してますね。まあ、そうでなければイチローがいながら6年で4度も地区最下位に沈むわけがないのだが。

マリナーズにやや深入りしたけど、ベルトランの方も、2004年途中に移籍したヒューストンアストロズではプレーオフには進むが、ワールドシリーズに出場できず。2005年には今度はニューヨークメッツに移籍するも、その年にアストロズが初のワールドシリーズ進出を成し遂げたのは皮肉でした。メッツも2006年には地区優勝はしましたが、プレーオフではカーディナルスに敗れ、2007年は地区連覇ほぼ間違い無しだった筈がフィラデルフィアフィリーズに逆転優勝を許しました。フィリーズは2008年・2009年とナショナルリーグのチームとしては13年ぶりの連続リーグ優勝、2008年には世界一にもなりましたが、メッツはこの痛恨事がショックだったのかパッとしない戦績に終わっています。まさに対照的ですが、そんなわけで成績自体はスウィーニーよりも断然優秀な数字を残していますが、未だワールドシリーズ出場の夢はかなっていません。

広島は12年連続Bクラス、ロイヤルズも1996年以降は14シーズン中8度も地区最下位に沈んでいる暗黒期の真っ只中にありますが、グレインキーのサイヤング賞受賞はそんなチームの数少ない明るい話題となったし、21世紀以降のMLBはほぼ交代して違ったチームがリーグ優勝・ワールドシリーズ優勝しています。2001年ダイヤモンドバックス、2002年ジャイアンツ・エンゼルス、2003年マーリンズ、2004年レッドソックス・カーディナルス、2005年ホワイトソックス・アストロズ、2006年タイガース、2007年ロッキーズ、2008年フィリーズ・レイズと言った具合にです。ロイヤルズももう24年もリーグ優勝から遠ざかっていますが、全くチャンスがないわけではないと思います。今年はヤンキースVSフィリーズの59年ぶりのワールドシリーズ顔合わせでしたが、来年はもしかしたらロイヤルズVSカブスのワールドシリーズでも実現するか?それとも・・・・・・・・・やはり去年今年と結果を残せなかったヒルマン監督のシーズン途中解任の可能性のほうが高そうだが・・・・・・・・・・

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