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2009/11/29

ロシア人は本当にあの「スターリン時代」に戻りたいのか?

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200911/2009112000738

ヒトラーとスターリンは同じ=リトアニア元議長が会見

 来日中のランズベルギス元リトアニア最高会議議長は20日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、ヒトラー総統のナチス・ドイツも独裁者スターリンが率いた旧ソ連も「同じファシズムであり、違うのは色だけだ。茶色か赤か、それだけだ」と述べ、両者は本質的に同列のものだと指摘した。茶色はナチス突撃隊の制服の色。
 「ベルリンの壁」崩壊20年の今年、バルト3国ではヒトラーとスターリンを同列視して批判する声が強まり、リトアニアで7月に開かれた欧州安保協力機構(OSCE)の会議では両者による犠牲者を共に追悼する決議が採択された。これにロシアは強く反発している。
 しかし、ランズベルギス氏は「(ナチスがリトアニアを占領した)ヒトラー時代よりスターリン時代の方が殺された人は多い」と強調。最近のロシアは「スターリン化の揺り戻しがあり恐怖を感じる」と警鐘を鳴らした。 
 音楽家の同氏は1980年代後半から民族組織サユジスを率いリトアニアを独立回復に導いた中心人物。(2009/11/20-16:40)

同列どころか、スターリン時代のソ連の方が酷いとは過去ログでも言ったとおりですが、大粛清への擁護論として、「派閥抗争や、赤軍の旧態依然とした将校を一掃した事はソ連の大いなる発展につながった。」とか、「赤軍はもともと物量で他国の軍隊よりも段違いに多く、軍隊を統率すべき指揮官も元々不足気味だったから、赤軍大粛清もそれほど影響はなく、寧ろゲオルギー・ジューコフイワン・コーネフ等の若い将校が活躍するきっかけとなった。」とか「スターリン時代は暗黒時代というのは、あくまで西側からの視点に過ぎず、生活水準の向上など希望にも満ち溢れていて、暗黒期と黄金期が隣り合わせな時代だった。」とか聞きますが、繰り返し言うようにその「黄金期」ですら、強制収容所での無償労働者等に支えられた、「見かけだけの黄金期」に過ぎなかったし、赤軍大粛清も、旧態依然とか若手将校とか言うけど、粛清された3人の元帥の内、ヴァシリー・ブリュッヘルミハイル・トゥハチェフスキーは、前述のジューコフやコーネフだけでなく、アレクサンドル・ヴァシレフスキーコンスタンチン・ロコソフスキーフョードル・トルブーヒン等その「若い将校」とそれほど大きく年齢が離れていたわけではなく、彼等の内ロコソフスキーはやはり粛清されかかっていました。(ジューコフの勇気ある嘆願により釈放される。)しかも、スターリンと関係が良かったクリメント・ヴォロシーロフ、セミョーン・ブジョーンヌイ、ボリス・シャポシニコフ、グリゴリー・クリーク、彼らも「旧態依然とした将校」だった筈ですが、生き残っています。(クリークは戦後粛清されたが。)彼等の内、シャポシニコフは有能な人で、赤軍大粛清で弱体化した軍の再建に尽力していたそうですが、彼にしても、フィンランドとの冬戦争で被った損害の責任を取らされて、赤軍参謀総長を辞任する羽目になりました。(独ソ戦勃発後再任されるも、間も無く第一線を退き、終戦直前に亡くなる。)ヴォロシーロフに指摘されるまでもなく、どう見ても責任を負うベキなのは、赤軍再建により時間が必要だったにもかかわらず、フィンランドを過小評価してロクに長期戦も想定しないで戦争をおっぱじめたスターリンその人だったのだが・・・・・・・ニコライ・エジョフも、ちょっと点数稼ぎが過ぎた程度で、今度は自分が側近のゲオルギー・マレンコフの「点数稼ぎの材料」(そうしないと今度は自分が粛清されるからなのだが)にされてしまい、スターリンに「人殺し」と罵られましたが、その人殺しを起用したのはあんただろうに。(苦笑)

赤軍大粛清と言えば、スターリンの片腕だったヴァチェスラフ・モロトフは、晩年のインタビューで「トゥハチェフスキーはクーデターを起こすつもりであり、我々はその日日まで知っていた。」等と発言したそうですが、そりゃ「死人に口無し」とはよく言ったもので、トゥハチェフスキーだけでなく、彼に関係ある人達は殆ど粛清された(親交のあったドミトリー・ショスタコーヴィチは流石に命はとられなかったが、尋問された上に、プラウダ批判やジダーノフ批判でバッシングの憂き目に遭った)だろうからそんな事が言えたのです。このモロトフも戦後は西側マスコミに「スターリンの後継者」と報道された事もあって、バッシングを食らったり、閑職に左遷されたり、奥さんがユダヤ人であるというだけでブタ箱送りにされ、それに同意しなかった為にまたバッシングされたりと、スターリンのコードネーム・「コーバ」と呼ぶ事も許されたほどの蜜月ぶりはどこへやら、冷遇されっぱなしだったのですが、たとえそうであっても、スターリン体制を否定すれば、今度は「じゃあ、そのスターリンの下で政策に関わってきたあんたはどうなんだ。」と自分に跳ね返ってきます。(フルシチョフは「そんなのしらねーよ。」と言わんばかりにスターリン批判をしたが)それもそうした一連の政策を擁護した理由の一つでしょう。

結局第二次世界大戦に勝利して超大国となったのはいいが、その代償に失ったものもあまりに大きく、最盛期の1939年でさえ、経済力はアメリカの半分に過ぎなかった(戦後はピークの1975年ですら、購買力平価換算のGDPは45%に過ぎなかった。)のに、見栄を張りすぎて自分の勢力圏を守る為に軍事や科学技術偏重等のイデオロギー第1主義で、国民の生活を全く後回しにしたために経済がどんどん疲労していってソ連は崩壊の憂き目を見ることとなった。しかし、ソ連が消滅しても、「自分達が決めた縄張りは絶対に守らなければならず、それを侵そうとするものには徹底して牙を向ける」という、帝政時代からの地政学的な伝統は決して消滅したわけではありません。

ソ連時代末期においても、東欧革命には干渉しなかった筈のゴルバチョフでさえ、バルト三国の独立は軍を送って阻止しようとした。チェンチェンや北方領土、カレリア、南オセチア等の領土問題の根深さも、これを良く踏まえないと理解は出来ないと思いますが、昨年からの金融危機を影響をもろに受け、今年の経済成長率は-6~7%に大きく落ち込む見込みです。数十人もの死者を出した脱線事故も、そうした「地政学的な伝統」故なテロの可能性が強いなど、政情は不安定で、そうした背景もスターリン再評価にあるようですが、結局の所、実際あのような時代に生きた人達の痛みが理解できていない、歴史認識不足というか、あのソルジェーニーツインも「ロシアには愛のある独裁が必要だ。」といったようだけど、スターリンは決して「愛のある独裁者」などではなかった。(だからこそ、その政権末期に批判してブタ箱にぶち込まれたのだが。)このようなスターリン再評価の動きが見られる内はいつまで経っても進歩しないでしょうね。まあ、何度も言うように日本人も、そうしたロシアや中国・南北朝鮮等曲者ばかりな周辺国を批判してばかりいる場合でもないと思うのだが・・・・・・・そう言えば、明らかにロシアが敵国のモデルな「皇国の守護者」も打ち切りの憂き目を見たらしいですが、まあしょうがないだろうね。絵も内容も人を選ぶ代物だったし。

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