「ラシャーヌ!」での特筆すべきエピソード
「ラシャーヌ!」は少女漫画家の代表的存在・魔夜峰央氏の代表作の一つであるコメディ漫画作品であり、昭和53年~平成元年の間にかけて発表されました。
主人公のラシャーヌはインドに住む美少年で、父のハッサンや拳法の達人である伯父さん(もしアニメ化されるとしたら、子安武人氏とかイメージにあってるんじゃないかと思う。実際子安氏は「パタリロ西遊記」でバンコラン役を務めてましたが。)など周りの人間を振り回していく破壊的な性格の持ち主・・・・・・だと思ったら、他方では何故か何人もの女性に恋をするも殆どフラれてしまうという不幸なジンクスの持ち主でもありました。(後に結婚してビショーネという子供ももうけたが、その結婚した奥さんは病弱でスイスで療養しているという設定であった。)あの「パタリロ!」とも世界観を共有していて、ラシャーヌも原作・アニメ版ともに登場した事があります。
現在は既に文庫化もなされ、全4巻が白泉社文庫から発売されてますが、その中で特に印象深いエピソードは「フルート奏者」のそれです。
あらすじは、会社の取引でハッサンと共に旧西ドイツにいったラシャーヌが、その取引相手の内弟子・グリンダにまた一目ぼれしてしまうのだけど、グリンダの方は、天才フルート奏者と言われているカールが好きで練習曲を彼に見せたのだけど、クソ味噌に罵倒されてしまいます。その後ラシャーヌにデートに誘われてOKの返事をしたのだけど、その直後カールがやって来て謝罪すると共にブリーチを彼女にあげて、ラシャーヌへのデートを頼みます。(ただデートするだけでなく、最後は「こっぴどく」ふる事も指示しています。)
カールが好きだった彼女は言うとおりの事をして、まさに西ドイツでもラシャーヌはこうした「不幸なジンクス」から逃れる事が出来なかったと思ったら、その貰ったブリーチは実は取引相手の亡妻の形見で、盗んだと思われた為にこっぴどく叱責され、弁解も碌に聞いてもらえませんでした。
事情を説明してもらおうと思ってカールを問い詰めたら、一度クソ味噌に罵倒したくせにラシャーヌのデートの誘いにOKしたグリンダを裏切り者として罵り、怒ったグリンダははっ倒そうとして勢いのあまり自分だけがベランダから転落してしまいました。たまたま一部始終を見ていたラシャーヌによって病院に運ばれ、命に別状はありませんでしたが、転落した際木の枝で顔を傷つけてしまい、その後はかなり残ると診断されてしまいました。
このカールは、極端な自己中心的・唯我独尊的な困った兄ちゃんだったのだけど、これにラシャーヌも怒り、「悪魔の笛」を探して、ファンを装ってカールに送りつけて吹かせました。そしてその吹き方を当然知らなかった為に怪物と思われるものを呼び出してしまったのですが、吹くのをやめる事が出来ないまま、食い殺されてしまったのです。
以上ですが、勿論カールの結末には全く同情の余地はありません。普通にカタルシスはあったのですが、完全にすっきりとした結末でもなかったと思います。このカールのようなDQNが死んでも、グリンダが失ったものが帰ってくるわけではないからです。亡妻の形見を盗んだという誤解は、本編では描かれませんでしたが、ラシャーヌがちゃんと事情を説明して解かれてもらったかもしれません。でも、そんな事よりももっと大切な「体」と「心」を彼女は傷つけてしまったのです。カールは死ねばそれで済むかもしれないのだけど、彼女はこんなつまらない男のためにそうした「傷」を抱えながらこれからも生きていかなければならない。1話限りのゲストキャラだった為にその後の動向については描かれませんでしたが・・・・・・・・・・・
長くなってしまったけど、ラシャーヌって、後に「PAPAラシャーヌ」でも成人後の姿が描かれていて、ハッサンが経営する会社に入れてもらうも、仕事も何一つしないでやる事と言えば寝る事と昼食をとる事なだけなダメ社会人(苦笑)になっていた(ハッサンが死んだらどううするつもりだよ。((苦笑))けど、こういう正義感も持ち合わせていた一面もあった事も垣間見られた印象深いエピソードだったと思います。「パタリロ!」と比べて発表期間は短かったけど、却ってそれが良かったのかもしれません。最近の同作は正直微妙ですから・・・・・・まあ、長く続いている分マンネリになってしまうのはしょうがない部分もあるのだけど・・・・・・・
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